憂いの天使
1 反乱軍の本拠地へ

フィン王国よりも離れた北西にある川で戦士が倒れていた。
彼の名はウォーリア・オブ・ライト。
光の戦士・・・・・
そんな彼が何かに引き寄せられるようにこの世界に落ちてきたのだ。


気がつくと私は川辺で目覚めた。
 此処は・・・・・何処だ?

どうやらクレセントレイクの町からグルグ火山へ向かって
歩いていたはずだが・・

「そうか、崖を上ろうとして足を滑らしたのか・・・」

だが・・・此処は私が知らない世界だ。
このような場所は見た事もない。
立ち上がろうとして辺りを見回した。

そんな私の側に鳥のような生物に跨った人物が近づいて来た。

「おい、大丈夫か?」
「・・すまない。此処はクレセントレイク付近か?」

「あんたは旅の戦士のようだな。生憎と・・・
そんな地名は無いぜ戦士の姐さんよ。俺はポールと言うんだが・・・」
「何、どういうことだ?」
「此処はフィン国より北西にある川だ。俺は今からアルテアに戻る所だが・・
なんなら送ってやろうか?美人な戦士さん」

そうだったのか・・・
だが、フィン国とは何処かで聞いたような国名だな。
・・・思い出せないが・・・

「おい!早く乗らないのか?置いていくぞ美人さんよ」
「すまないのだが・・・美人とは何だ?」
「何だって!?あんた美的感覚がないのか・・・それとも自覚がないのか?」
「何がだ?」
「こんな美人を放っておけるか!おい、俺の後ろに乗れよ・・送ってやるからさ」
「いや、歩いていくから大丈夫だ。それに・・・その生物は何だ?」
「これはなぁ、チョコボって言う鳥なんだが・・・何だ。あんたは本気で何も
知らないのか・・・フィンに行くよりもアルテアに向かったほうが
安全だ・・・っと、あんたの名を聞いて無かったな」
「あぁ、失礼した。私はウォーリア・オブ・ライトだ・・」
「何だって!?」
「・・・どうかしたか?」

いきなり笑いだすポールは一人だけ納得するように呟いて振り返る。
何だ?この失礼な男は・・・・
私が可笑しいのだろうか?解らん・・・・

「いや、こっちの話だ。それよりも・・・あんたは此処に居てくれよ。しばらくは
待たせるだろうが・・・」

ポールはチョコボに乗って急ぐように去ってしまった。

「・・・・・解らないが・・・待ってみよう」























ガテアの村
この地にフリオニールがいた。
フリオニールは反乱軍の白魔導師ミンウと行動を共にする。
他にマリア、ガイなどもいて旅の途中で知り合った海賊の頭、レイラと一緒にいた。
フリオニールは少し色黒な、褐色肌のつり目で八重歯の男らしい顔立ちである。
そんなフリオニールは自分では女性たちの目線には気がつかないほど鈍い。
何故、女性から追いかけられるのか解っていないのだ。
女難の相が出ていると旅の途中で占い師からも告げられたくらいだ。

「ふうう・・・」

レイラとマリアはフリオニールからすでに恋人がいることを聞いていた。
異世界で知り合った光の戦士、ウォーリア・オブ・ライトの話を知り、二人は応援したのだ。

何故、そんな話になっているかと言うとセミテの滝へ入った彼らが
ミスリルを見つけた後、出口に潜んでいたサージェントと数名の敵に襲われたのだ。
やっとこそ滝を出ようとした所、フリオニールだけがサージェントの仕掛けた罠に
かかって谷へ落ちてしまった。
行方不明になった原因はその世界へ行った為だと解ったのが1週間も前。
それまでの十日間も反乱軍はフリオニールの行方を捜索していたことになる。
そんな理由があるからこそフリオニールには不思議な力があると思われてた。

「本当に・・あの時は困ったのよ。フリオニール・・・」
「あぁ、・・・あれの事か・・・」

振り返って笑う褐色肌の青年。

「まさか・・・そんな騒動になっているなんて知らなかったよ。俺だってあの異世界での
闘争に巻き込まれるなんて思ってもいなかったが・・・」
「ホント、夢見たいな話だよね。レイラさん・・・」
「あぁ、そうだな・・・ふっふっふ・・・」

本拠地から与えられた薬箱をチェックしてミンウはフリオニールに話しかける。

「そんなに・・・綺麗な人なんですか。ウォーリア・オブ・ライトと言う方は・・・」
「あぁ、ミンウにも見せてあげたいよ。あんなに綺麗な人はそういない・・・・・」
「全く・・・ご馳走様!!」

「フリオニールの・・・友達、俺も見たかった・・・」
「ガイ、友達じゃないわよ?奥さんって言っても可笑しくないんだから・・・」
「え・・・奥さん???」

マリアの発言に動揺するフリオニール。
マリアはフリオニールの側に来ていきなり顔をつねった。

「この・・・色男が!!」
「うぐ・・・マリア、い・・・痛いって!!」

そんなほのぼのとした雰囲気を壊すようにポールがチョコボに乗って戻ってきた。

「ハァ・・・ハァ・・良かった、まだ・・此処に居たんだな」
「ポールじゃないか。そんなに慌ててどうしたんだ?」
「聞いて驚くなよ・・・」
「あなたのソレっていつもつまらないわ。それで・・・何?」
「くふふ・・・」
「何だよ・・・その気持ちが悪い笑みは・・・」

「それが・・・居たんだよ・・」
「だから・・・何が?」

「光の・・・戦士さんがよ!!」
「・・・はあ?」
「何言ってるの?ポール・・・また冗談ばっかり言って・・・」
「この目で見たんだって!信じろよ・・俺だって盗賊だけどさ、嘘つきじゃないんだ!!」

「私は・・・信じますよ・・・ポール」
「ミンウ・・・?」

「・・・あなたの言葉は私が信じましょう。それで・・・ポール、彼の人は何処で見たのです?」
「フィンから離れた北西の崖の麓で・・・・って、ミンウさんよ。これは何かあるのか?」

立ち上がるミンウにみんなが振り返って待機した。

「光の戦士は・・本来、戦争が起こる時に現れると・・・私は聞きました。彼の人の出現には
何かの力も感じます・・・」

其処で俺ははっとする。
あの世界から別れる前にコスモスや歴代の戦士からもそんな話聞いていた。

「光の戦士を呼び出すことは本来はあっていけない事なのですが・・・彼の人の意思無しでは
そんなことをしてはいけないのです」
「ミンウ・・・」
「あの方が自分の意思で世界に入るのならば何もないことです。・・・しかし何かの力で
この地へ導かれたのでしょう・・・危険ですね」














フィンから離れた北西の崖の麓。
川辺で光の戦士は佇む。

「・・・此処は静かだな・・・」

あれから約一時間もの間、私は川の流れを見ていた。
辺りには小鳥やリスなども私の側に来ていた。
そんなに私が珍しいのだろうか?
すっかり小動物とも仲良くなってしまった。

そんな穏やかな時間を割く様に突然、辺りが暗黒に包まれた。
その気配に鳥たちが飛び小動物が散るように去ってしまう。

「何・・・」


「ほーう、貴様がいるとは思わなかったぞ・・・光の戦士よ・・・」

ウォーリアの前に現れたのは皇帝マティウス。
まるで蜃気楼のように出現した人物にウォーリアが危険を感じたのだ。

「何故・・・私を知っている?お前は誰だ!!」

「忘れたのか?光よ・・・貴様をこの世界へ呼んだのは・・・私だ」
「何だと・・・・」
「お前を・・・・待ちかねたぞ・・・ウォーリア。私がどんなに望んでも手に入らない存在・・・
今の私には・・・お前が必要なのだ」
「私は・・・物ではない!」
「フン、所詮、貴様は私の花嫁になるのだよ・・・」

「ぐっ・・・」


魔物のような男の嫁になれだと!?
冗談ではないぞ。
私にはすでに愛を誓った者がいるのだ。
約束をした者がいるのだ。
彼と必ず逢うとも約束をした。
だが・・・・・・。
・・・・・危険だ。
戦うしかないのか・・・仕方が無い。


「誰だか知らぬが・・私はお前を倒さねばならない・・・私は貴殿の花嫁になるつもりは
毛頭ない!!」
「ほーう、この私に歯向かうというのか?」
「倒してみせる!!」

私は武器を構えた。

「・・・皇帝、私にこの者と戦わせてください!!」
「・・・いいだろう、ただし気絶させても構わんが・・・そやつの顔や肢体には傷つけるな」

皇帝の影のように現れた黒い騎士が立ちはだかる。

誰だ・・・・・この者は・・・・。

「噂の・・・光の戦士か・・・ちょうど良い、手合わせしたいと思っていたぞ・・・」
「お前は・・・何故、あのような者に仕えている?あれは誰だ・・」
「人形になる人には答える義務はない・・・いい加減に諦めろ。ウォーリアオブライトよ・・・」

黒い騎士とウォーリアを囲むように周りにはモンスターが溢れてきた。
触手を持ったのはモルボル。
この時はそのモンスターの名も知らなかった。
それが私の後ろを遮る。
そうか、逃げ場がないようにするのか。
川辺での戦いは少し不利のようだ。
しかし・・・逃げる訳にはいかない。
私とて戦士だ。

ガキーン・・・
そんな思案を他所に黒い騎士が襲った。

「ぐっ・・・」
「逃げようと思ったのですか?」
「違う!」
「例え・・逃げてもモンスターに捕まりますよ・・ふふふ・・・」

ガキーン・・・
キーン・・・
ガチャ・・・

何度やっても私のほうが不利になる。
彼は強い。
一体何者だ?

「いくら待ってもフリオニールは来ないぞ・・」
「何だと・・・」
「お前がフリオニールの恋人であることくらいは聞いている」
「何・・・!?」
「そして・・・お前が女体であることもな!」
ガキーーーン!!

スターン・・・

私の剣が飛ばされた。

「いい加減に負けを認めることですね。ウォーリア・・・」
「・・・私は・・・・私は此処で倒れる訳にはいかないのだ!!」
さっと剣を拾い、黒い騎士へ立ち向かう。

ザクッ・・・・・・
シュ・・・・

・・・・・やったか?

振り返ろうとすると剣が私の頬を掠った。

「ぐっ・・・・」

黒い騎士の剣が飛んだ時に私の足を貫いたのだ。

「ぐわーーー!!」

そのまま意識が飛んでしまった。





フリオニール・・・・すまない・・・・・
私は・・・・・・








ウォーリア・・・・・・・


意識が遠くなる時に誰かの声を聞いていた。
まさか其処に反乱軍が来ていたとは知らなかった。

皇帝の率いる1グループを圧倒していく反乱軍・・・・・
反乱軍は僅かな数だというのにその場にいた帝国軍を撤去させたのだ。
それはミンウによるもの。
時には軍師にもなるミンウの力。
戦っていたはずの黒い騎士の姿は其処にはいない。

「ウォーリア!!」
「フリオニール、大丈夫ですよ」
「ミンウ、すまない・・・この人は俺にとって大事な人なんだ」
「今、ケアルをしましたので村へ戻れますよ・・」
「有難う・・・ミンウ」

ウォーリアは傷ついていた。
先ほどの戦いで力がつきたのだろうか・・・

ウォル・・・・・・
絶対にずっと離さないからな。
このまま眠ってくれ・・・







2へ〜




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2011/09/05UP



フリWOL中心(ウォルさん、フリオニールの世界へ行く)
ネタが何となく「王家の紋章」や「悪魔の花嫁」みたいな感じになった・・・
でも再会させたかったので展開速い。

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